12 腎疾患による障害

腎疾患による障害の認定の対象はそのほとんどが慢性腎疾患に対する認定である。

慢性腎不全とは慢性腎疾患によって腎機能障害が持続的に徐々に進行し生体が正常に維持できなくなった状態をいう。

そして急性腎不全では治療で治るのですが慢性腎不全は進行するのみです。治療ではいかに現状を維持するかを目標とします。

次に腎臓の機能は血液から老廃物を取り除き(糸球体)、この過程で流失したNa・Clなどの有効な成分を尿細管で再吸収します。すなわち重要な電解質や代謝産物を保持するとともに血液中の老廃物を捨て体液の恒常性を維持する点にあります。

慢性腎不全では子の機能が徐々に衰えていくことになります。

そこで糸球体濾過量を測るのにクレアチニンを使います。クレアチニンは筋肉などで使われる最終代謝物であとは捨てられるだけのごみのようなものです。

そのためクレアチニン(基準値 男性0.6~1.1mg/dl  女性 0.5~0.8mg/dl)が血液中に増えることは腎機能が低下したことを意味します。

そしてクレアチニンの濾過量(クレアチニンクリアランス 基準値 男性 78.1~133.3ml/分 女性 64.9~114.3ml/分)を測ることにより腎機能の状態を確かめます。

ただしクレアチニンクリアランスは血漿クレアチニン濃度(実際は血清クレアチニン濃度)・尿中クレアチニン濃度・尿量の3つの数値を使いますが、正確に測るには24時間かかります。

そこで計算上糸球体濾過量(eGFR)が用いられます。eGFRの基準値は90~150ml/分/1.73㎡です。

障害認定基準では軽度以上が10~20未満、中等度以上が10未満となっています。実はこの軽度以上でも臨床症状・日常生活障害度を総合して人工透析が検討されることになります。透析は2級(身体障害者手帳では1級)以上となります。

慢性腎不全の治療法には利尿剤・血液浄化法(透析療法・血漿交換・吸着療法)・腎移植がある。腎移植をして臓器が生着して安定的に機能するまでの間少なくとも1年間は従前の等級とされる。

ただしよい免疫抑制剤が開発されているとはいえ一生使えるわけではない。そのときが来れば血液浄化法を行う必要が出てくる。身体を大切にしてあげてください。