障害年金と健保・労災との関係について

障害認定日は初診日から一年六カ月を経過した日又はその期間内に症状が固定した日を言います。障害認定日に障害等級に該当した場合に障害年金が支給されるのが原則です。

それ以前は業務外ならば健康保険から傷病手当金が支給されます。もっとも国民健康保険では任意給付となるので傷病手当金が規定されない場合が多くあります。傷病手当金は療養のため労務不能の場合に支給され障害年金とは異なり比較的短期のものを想定している。すなわち支給は支給を始めた日から一年六カ月で標準報酬日額の三分の二に相当する額です。ちなみに障害年金が支給された場合傷病手当金は原則として支給されません。

次に業務上ならば休業(補償)給付・傷病(補償)年金・障害(補償)年金が支給されます。傷病が治っていなければ休業(補償)給付は傷病のため療養開始後一年六カ月を経過した日から傷病(補償)年金が支給され、治っていれば障害(補償)給付(障害(補償)年金・障害(補償)一時金)が支給されます。

ここで障害年金と傷病(補償)年金・障害(補償)年金が競合した場合労災側が調整される。この際労災は等級により給付基礎日額の何日分となるので併給するか否かは労災の等級と給付基礎日額からいくら減額されるか、また障害年金有期認定には更新があることを考慮して検討すべきであろう。ただし慎重にしなければならないのはカルテの保存期間が五年であることから初診病院のカルテが廃棄されれば申請が非常に困難となるという点である。事例にもよるが迷うくらいならば障害年金の申請を考えてもいいのではないだろうか。

このように業務外では一年六カ月以内ならば健康保険傷病手当金が、一年六カ月を経過すれば障害年金が生活保障の役割を果たす。

それに対し業務上では労災が手厚く保護し障害年金との併給をも認める。

次に障害認定日には例外を設けている。すなわち一年六カ月を経過しなくても又はその期間以内に症状固定にならなくても、例えば人工透析を始めてから三カ月、在宅酸素療法を行っている場合は開始した日を認定日としている。これは障害の重大性から障害年金の趣旨である生活保障が必要となった場合に当たると考えるからであろう。したがって障害年金を受給すれば傷病手当金は原則として支給されず、傷病(補償)年金・障害(補償)年金は併給調整の対象となる。