障害年金の有用性

障害年金は国民年金・厚生年金の加入者に支給されます。もっとも初診日・保険料納付要件・障害等級要件を満たしていなければなりません。そして国民年金は原則として強制加入です。これは憲法25条が健康的で文化的な最低限度の生活を国家の努力義務にしたことに基づきます。すなわち最後のセーフティネットが全額税金で保障する生活保護です。次が困窮者自立支援制度です。そして、ここまでにならないように自衛の策として保険料を支払い困ったときに備えるのが障害年金です。それゆえ障害年金は老齢年金を受給できるまでのつなぎの年金です(もちろん例外はあります)。そして自衛の策である以上治ることが原則です。それゆえ障害年金には有期と無期があり原則として有期年金とし更新時期に障害状態を審査します。

ではどのくらい役にたつのでしょう。

まず比較的短期の障害には健康保険の傷病手当金でまたは労災の休業補償給付で生活を保障します。これは1年6ヵ月でます。そしてこの先症状固定の場合はもっと速くなりますが比較的長期の障害年金の支給が開始されます。ここで間違えないでほしいのは労災の障害補償年金は併給できます。

ただし平成27年度価額で障害基礎年金は780100円、障害厚生年金は報酬比例の年金のため一定しませんが300月にみたない場合には300月加算されます。さらに生計を維持された配偶者・子がいれば加算額がつきます。

通常この額は生活保護に及びません。それゆえに比較的長期の生活保障といってもこれだけでは生活が成り立ちません。何とか治すことが必要になります。残念ながらそれができない場合には生活保護を併給する必要があります。この場合には生活保護には障害者加算がつきます。

つぎに国民年金の被保険者はどのような人がなれるのか。

日本に居住する20歳~60歳未満のものです(任意加入の制度もあります)。

ポイントは国籍要件がない点です。ただし社会保障協定で日本ではなく本国の年金に加入する人もいます。

そして障害年金は65歳から支給される老齢年金が支給されるまでのつなぎの年金なので被保険者であったもので60歳から65歳未満の者も支給されます。

日本国憲法は人権の前国家性を前提としているものの国籍で社会権などの予算を必要とするものはまず国民を助け余力のあるときに外国人を助けるという構造をとっている。すなわち外国人の救済にはその国が行うのが原則です。それができない場合は国民主権原理で判断されます。その結果として日本に住居を有し税を払い国民年金厚生年金に加入しているのならば障害年金の支給も日本人と同じように扱うと考えていきます。

結論として、障害年金は老齢年金をもらうまでのつなぎの年金としての性格からこれのみで生活を維持することは困難です。自分の財産と障害年金で何とか生活を成り立たせ障害を治し、財産がなくなるような事態が生じたならば生活保護で生活を成り立たせていくことになります。