障害年金の受給者は国民年金の保険料を払うべきか

障害年金は老齢年金をもらうまでに労働能力を失った場合に生活保障をする趣旨である。そして老齢年金は住居があることを前提に夫婦二人で現役の50%の収入を想定している。これに対し障害年金は障害基礎年金・障害厚生年金・配偶者や子の加算がついたとしてもそれだけで生活を成り立たせることは容易ではありません。自己の財産を使いながら障害を治し長期化した場合には生活保護との併用となります。それゆえ老齢年金をもらうまでのつなぎの年金となります。

次に障害等級1・2級の場合は法律上当然に保険料は全額免除されます。しかし本人が希望すれば保険料の納付は可能です。では保険料を払うことは必要でしょうか。

まず法定免除された場合の老齢基礎年金の額の計算について検討します。なお老齢厚生年金の額には全く反映しません。

障害基礎年金(平成27年度価額)780100円で一月保険料を払うと約1625円となります。法定免除された場合2分の1の額が年金額に反映するので約813円となります。

ちなみに法定免除を受けても10年間は追納できます。また60歳から任意加入して年金額を増やす方法もあります。

ここで障害年金には有期認定と無期認定があります。有期認定は1~5年の範囲内で更新が繰り返される認定です。無期認定は更新のない認定です。無期認定の場合障害基礎年金は老齢基礎年金と比較すると満額が支給されるので国民年金の保険料は納める必要はなくなります。では働ければの話ですが障害厚生年金はどうでしょうか。障害厚生年金は300月加算されるのでそれなりに大きい額となります。しかし働いて平均標準報酬額が上がれば老齢厚生年金は増える関係にあります。そして65歳を過ぎれば障害基礎年金と老齢厚生年金の併給が可能となります。

したがって働けるならば働く方がよいといえます。また、働くことにより社会とのつながりをもち生きがいを感じている方もいます。

問題は有期認定の場合です。

有期認定は更新時に障害等級が不認定とされる場合もあります。

そして障害等級1~3級に該当しなくなった時もしくは65歳になったときのどちらか遅い時に障害年金は失権します。

障害年金が失権すれば老齢年金で生活を維持する必要が出てきます。この場合は保険料を払っていなければ年金額が下がることになります。

そこで障害等級が不認定となることを前提と考えると経済的に余力があり40代50代ならば払うほうがよいでしょう。治った後に働いて払い込める期間が短いからです。これに対し若い方は今後何が起こるか分からないし通常経済的に苦しい方が多いこと、また追納、任意加入という方法で年金額が増やせます。ならばまず治すことに専念することを選ぶのがよいでしょう。いずれにしろ経済的に苦しい場合には身体を治すことが先決でしょう。