障害年金 頭部外傷後遺症(高次機能障害)(障害等級)

 今回は頭部外傷後遺症(高次機能障害)で障害等級が問題になった事例について少し考えてみようと思います。

 本件では統合失調症ですでに障害等級2級が認定されています。そして統合失調症とは相当因果関係のない頭部外傷後遺症で請求に及んでいます。

 ここで頭部外傷後遺症は障害認定基準では精神の障害の症状性を含む器質性障害で判断するのが相当である。

 そして統合失調症等とその他障害認定の対象となる精神疾患が併存しているときには併合(加重)認定の取り扱いは行わず諸症状を総合的に判断して認定する。

 とすると統合失調症と頭部外傷後遺症を合わせた障害の状態で障害等級1級に該当する必要があります。また本件では頭部外傷後遺症のみで請求しているがこの請求方法では併合認定されないことから障害等級1級にならなければあまり意味はない。あまり意味がないと言ったのは障害等級2級でも平均標準報酬額が変動するので全く意味がないわけではありません。

 さて本件では頭部外傷後遺症で請求をしている以上頭部外傷後遺症で判断しなければならない。

 しかし提出された診断書では認定対象になる頭部外傷後遺症に直接起因する障害だけではなく統合失調症に起因した障害の状態が混在している。

 とすると診断書の記載に基づいて頭部外傷後遺症の障害の状態のみを正確に抽出し、その障害の程度がいかなるものであり障害等級に該当しているかを客観的、かつ公正公平に判断することはできない。

 従って請求は棄却されました。