[問題] 1 保険料納付済期間・保険料免除期間及び合算対象期間を合算した期間が25年あるか。
2 錯誤により支払った保険料を強制加入未納期間分に充当できるか。
[論理] 本件では旧法下の被用者年金各法の配偶者が問題になる。この配偶者は強制加入の被保険者ではないが任意加入できたことを前提にします。
1 請求人は国民年金の強制加入被保険者として納付義務あるものと誤認したために保険料を納付したのであってそうした動器条の五人がなければ当該保険料の納付はなされなかった。
そして動機は表示されて意思表示の内容となっていたのだから当該納付の意思表示は法律行為の要素に錯誤があったというべきであり無効とされる(民法95条)。
本件係争期間は合算対象期間となり保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせて25年以上ある。
2 本件では市役所の保険料徴収手続きに重大な瑕疵がある。
とすれば保険料の過誤納が判明したとして貨幣価値が現在とまったく異なる当時の僅少な保険料相当額を還付し、当該還付金に比べて格段に多額の年金額減額を行うことは保険者の重大な過失を不問に付し、こうした不利益を請求人に一方的に負担させるから信義則上(民法1条2項)許されないというべきである。
したがって強制加入未納期間分に充当するのが相当である。
[解説] 法律行為において最も重要なのは意思表示である。法律行為により生じる法律効果を帰属せしめるのは意思表示により本人がそれを欲するからである。
そして意思表示は内心的効果意思・表示意思・表示行為を通じて成立する。錯誤は内心と評議が不一致なのを知らないことである。これでは法律効果を本人に帰属せしめない。したがって無効である。
ただし動機に錯誤があった場合は動器が表示され意思表示の内容となった場合に無効とする。これは取引の安全を目的としている。