63 障害年金 右大腿骨腫瘍(客観的予備的併合)

 今回は右大腿骨腫瘍で主位的には障害認定日請求を、予備的には事後重症請求をし、障害認定日3級が認定され事後重症2級を求めた事例になります。私も仕事を始めた頃少し迷ったのですが予備的請求は請求が認められることを解除条件として併合されるもので主意請求が認められれば予備的請求は審査されません。それ故予備的請求に対する不服申立てはあり得ません。ここで注意しなければならないのは主意請求が認められると予備的請求は効力を失いますが、請求日現在の診断書は認定の期間と職権改定の資料とされ職権改定がなされた場合にはそれに対する不服申立てが可能となります。

 次に裁決例では額改定請求は障害厚生年金の受給権者が障害の程度が増進したことを理由に行うことができるとされているので未だ受給権者となっていないものによる額改定請求を認めることはできないとします。

 しかし本件のような訴求事例には当てはまりません。

 なぜならば障害認定日請求認容された場合、障害認定日に受給権が発生することになるのだから障害認定日から1年以上離れていれば額改定請求はできることとなります。

 とすると本件では障害認定日と請求日現在との間に1年以上の開きがあることから「受給権者になっていないものによる額改定請求」ということができません。

 したがって障害認定日請求と同時に額改定請求は認められるというべきである。

 本件では主意請求が認容され額改定請求がなされていないことから請求は棄却されました。