配偶者適格

【問題提起】 配偶者加給年金を5年を超えて遡及して請求できるか。

 

【規範定立】 厚年法92条1項は「保険給付を受ける権利は5年を経過したときは時効によって消滅する」と規定する。

 そしてこの規定に基づき受給権の行使自体は認めるが、支分権たる加給年金の支給については5年に限り請求を認める。

 ただし年金事項特例法に基づき説明誤りがあったときは時効の援用をしないこととする。

 

【あてはめ】 本件において請求人は特老厚生年金の裁定を請求した際に甲が配偶者加給年金適格者である旨を称する資料の提出もなくその申し出もなかった。

 しかし特老厚生年金受給権者がその受給権を取得した当時において加給年金対象者の存否およびその者が生計維持及び年金要件等を満たしているかという事柄は一般の国民には容易に判断できない。

 一方、年金事務所の相談員はこれらの問題に精通している専門家であることから提出された裁定請求書を点検すれば配偶者加給年金が加算されていないことはわかるはずである。

 とすると請求人に対し補正する機会を与えることができた蓋然性が高い。

 その点に注意を払わず対応したということは、請求人に対し十分な説明をしなかったものというべきである。

 

【結論】 したがって配偶者加給年金を受ける権利が時効消滅したとした原処分は妥当ではない。