給付制限(故意の犯罪行為)

[問題] 本件交通事故が故意の犯罪行為によって生じたのか。

[解説]  14歳以上で刑罰法令に触れる行為をした少年を犯罪少年とし、14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年を触法少年として犯罪少年と区別していることからすれば、刑事法制上は14歳に満たない者の刑罰法令に触れる行為を犯罪行為ということはできない。

 しかし黒年70条が被保険者が故意に自己を生じさせ又は重大な過失により自己を招来させたときにまで障害年金を支給することは国民年金制度の利益を著しく害することになりモラルハザードを招くことになる。

 それゆえにその行為の主体が刑罰法規により処罰されると否とを問わず国民年金制度の利益を害し、モラルハザードを招来する犯罪構成要件に該当する違法な恋行為であればそれで足りる。

 この観点からすれば請求人が当時において事理弁識能力を欠く事実があったとしても無免許運転は故意による犯罪行為といえる。

 国年70条の故意の犯罪行為により障害の原因の対象となった事故を生じさせたときには故意の犯罪行為と自己との間に相当因果関係がある場合でなければならない。

 本件においてたしかに無免許運転をしなければ交通事故はなかったといえる。

 しかし無免許運転と交通事故との間に相当因果関係があるといえるためにはその行為からその結果が生じることが社会通念上相当といえる関係が必要である。そして無免許運転をすれば交通事故が生じるとは社会通念から見て相当とは言えない。したがって請求人が故意の犯罪行為により交通事故を生じさせたとは言えない。

[解説] 問題は無免許運転という犯罪行為と交通事故との間に因果関係があるのはどのような時かである。因果関係があれば交通事故で生じる障害を奇跡できることになる。

 裁決例では判例同様に相当因果関係説をとる。それゆえに無免許運転をすれば交通事故が生じるということが社会通念上相当といえなければ因果関係を認めない。

 あまり良くない事例ではあるが無免許で何年も運転していたひとが交通違反で捕まったという話は時々聞く話です。