56 障害年金 統合失調症(初診日)

 今回は統合失調症で初診日が問題になった事例について少し考えてみようと思います。

 本件では初診日が特定できず保険料納付要件が確認できずに請求が却下されています。

 保険料納付要件は初診日の前日で判断され、3分の2要件、直近1年要件、また20前障害の場合は保険料納付要件は不要であり、その他事例によってはいくつかの方法があります。

 ここで初診日は初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいい、前に相当因果関係のある傷病のある場合にはその傷病の初診日が初診日となる、

 そして初診日に関する証明資料は障害の状態を証明すべき時に直接診療に関与した医師または医療機関が作成した診断書、またはこれに準ずるような証明力の高い資料でなければならない。

 本件において初診日認定適格資料として診断書と受信状況等証明書がある。

 診断書には傷病名として統合失調症と記載されている。しかしここを初診日と認定すると保険料納付要件が満たせなくなる。そこで受信状況等証明書記載の初診日を認定できないかが争点となる。

 受信状況等証明書には①急性上気道炎、②精神病の疑いとあります。カルテには当時の担当医が何らかの精神疾患を疑ったとあり、後に不安・不眠を主張していることから入眠導入剤を処方している。

 傷病名はつかなかったわけですが精神病の疑いを相当因果関係があるとして初診日を認めている。

 おそらく相当因果関係を認めるためには統合失調症の前駆症状が認められなければならない。

 とすると精神病の疑いだけでは認められなかったと思われる。後に不安・不眠を訴えていることからこれらを加味して認定したのではないだろうか。