165 障害年金 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(障害の状態)

 今回は慢性炎症性脱髄性多発根神経炎で障害認定日の障害の状態が認定できるかが問題になった事例です。

 原則として現症日の障害の状態をカルテを基にして記載された診断書で判断します。

 とすると障害の状態を認定すべき日に診療を受けていないと障害の状態は判断できないこととなる。

 本件では障害認定日後3ヶ月以内に診療がなされていないことから、その前後のカルテの状況から推測で書かれています。

 しかし推測で書かれた場合それが正しいか否かは実質的な判断を必要とし、カルテから簡易迅速に判断することはできない。ただし確立した医学的知見から明確に障害の状態を導き出せる場合には採用される場合もあります。

 証拠調手続きが省略された不服申立てではやはり限界があります。取消訴訟を提起する必要が出てくるでしょう。

 したがって提出された診断書は認定の基礎とはされませんでした。

 さらに請求人は就労不能であったことを申し立てています。

 障害年金は傷病から発する症状により労働能力が失われた場合の生活保障です。

 とすると提出された資料からはいかなる事情によって就労不能であったのかは明らかにはできない。

 したがって傷病が原因で就労不能とは認められませんでした。