障害年金S字結腸憩室穿孔(障害認定日)

 今回はS字結腸憩室穿孔で障害認定日が問題になった事例について少し考えてみようと思います。

 ここで障害認定日とは請求する傷病の初診日から起算して1年6月を経過した日、または1年6月以内にその傷病が治った場合には治った日をいう。

 本件では人工肛門を造設していることから障害認定基準が特に初診日から1年6月か、人工肛門を造設した日から6月を経過した日の早いほうを障害認定日とするとしている。

 本件では人工肛門造設から6月を経過した日が障害認定日になるのではないかが争われている。

 ちなみに障害認定日が早ければそれだけ障害年金支給額が増える。ただし人工肛門造設は原則として障害等級3級が認定されることになるので健康保険法の傷病手当金が支給されるのならばこちらの方が額が大きくなることが多い。そして傷病手当金は支給されてから1年6ヶ月支給されることから慎重に考える必要があります。

 実は障害認定基準が改定される前は人工肛門増設時が障害認定日で6ヶ月待つ必要はなく、本裁決例はこのときのものです。

 本件の経過をたどると、人工肛門造設、20日後退院、69日後人工肛門閉鎖、20日後退院という経過をたどっている。

 障害認定基準は人工肛門造設を持って傷病が治った日と考えていることからわずか2ヶ月後に人工肛門を閉鎖するということは造設をもって治った(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)とはいえない。

 従って人工肛門造設をもって障害認定日とすることはできないとしています。

 ちなみに人工肛門造設から6月を障害認定日とする障害認定基準からすれば、6月経過後に人工肛門が閉鎖されている以上障害等級3級は認定されないこととなると考えられます。もちろんそのときの障害の状態を具体的に考えることになりますが。

 結局本件では障害等級不該当とされて障害年金は支給されませんでした。