障害年金 心因反応 抑うつ状態

[問題] 医師は医学的には復職可能と判断しているが職場復帰準備、いわゆるリハビリ出勤の期間であり労務の提供をしたものではない。

 このような場合にも療養のための労務に服することはできないといえるか。

[論理] 傷病手当金にかかる労務不能の基準として必ずしも医学的基準によらづ、その被保険者の従事する業務の種別を考えその本来業務に耐えうるか否かを基準として社会通念に基づき認定する。

 その後、療養のため労務に服することができなかった被保険者が、その間他の業務に服して賃金を得ていたとしても、本来の職場における労務に対する代替的性格をもたない労務に従事していた場合や、当然受けうるはずの傷病手当金の支給があるまでの間一時的つなぎとして軽微な労務に服していたという場合には傷病手当金の受給権を喪失するものではない。

 さらに被保険者がその本来の職場における労務に就くことが不可能な場合であっても、現に職場てんかんその他の措置により労務可能な程度の他の比較的軽微な労務に服し、これによって相当額の報酬を得ているような場合は、労務不能に該当しないものであるが、本来の職場の労務に対する代替的性格をもたない労務に従事したり、あるいは傷病手当金の支給があるまでの間、一時的に軽微な他の労務服することにより賃金を得るような場合、通常なお労務不能に該当するものである。

 したがって労務内容、労務内容との関連におけるその報酬額等を十分検討の上労務不能に該当するかを検討すべきである。

 本件では医師の指導に基づきリハビリ出勤につき具体的な計画を立て規則正しい生活、通勤の訓練、同僚のお手伝い程度を行わせ、労務の対価は支給していない。 

 そして療養のため労務に服することができないもの(健保99条1項)に傷病手当金を支給するのは一定の限度で生活を保障して療養に専念しうる状態を与えるためである。

 ならば傷病手当金を得られないために可能な限度を超えて労務に服することを余儀なくされるような厳格な解釈をすべきではない。

 したがって療養のため労務に服することはできないといえる。

[解説] 本件は「療養のため労務に服することができない」ことを単に医学的基準からのみとらえず、「生活を保障し療養に専念しうる状態を与える」という法の趣旨から実質的に解釈したものである。