民法736条婚姻関係

[問題] 養子縁組した子に対して内縁の配偶者として遺族厚生年金を受けることができる配偶者に該当すると認めることはできるか。

[論理] 婚姻関係は一つの社会制度であり厚生年金保険法3条2項はこのような社会保障制度としての婚姻法秩序を前提として婚姻の届け出をしていないが時自治条婚姻関係と同様の事情にあるものを厚生年金保険制度の中でそのものの老後生活の安定のため婚姻の届け出をしたものと同様に取り扱う趣旨である。

 とすると一種の公的給付と解すべき遺族厚生年金について厚生年金保険法3条2項が民法の婚姻法秩序を前提にしている以上民法734条から736条に該当する者は排除されるべきである。

 しかし本件は偽装養親子間の事実婚関係にかかるものでありそれが一方当事者が死亡した場合の他方当事者の老後関係の安定という、法の趣旨目的と現行婚姻秩序が担う社会倫理的配慮の関係について検討を加えなければならない。

 本件において請求人と亡被保険者は死亡当時婚姻関係と同様の事情にあった。

 そして形式的には養子縁組はなされているがその周囲のものも養親子関係については全く気付いていない。

 また養親子関係を結ぶ発案は被保険者が相続対策として行ったもので請求人が避難されるいわれはない。

 以上より例外的に現行婚姻法秩序が担う親子関係の秩序維持という社会的倫理的配慮に基づくことなく配偶者の老後安定の目的に即して請求人には遺族厚生年金が支給される配偶者に該当する。

[解説] 遺族厚生年金を受けることのできる遺族は、死亡した者に生計を維持されていた①配偶者 子 ②父母 ③孫 ④祖父母です。

 ただし妻以外には年齢要件があります。