社労士業務を続けて思うこと(障害年金代理申請)

障害年金代理申請を行うようになって思うことは本当に難しいということである。

私ははじめ通常の申請行為が大半で難問はそれほどないであろうと考えていたがそれは大きな間違いであった。

社労士が高い料金を取るのはそれなりの理由がある。ほとんどの人ははじめ自分で申請しようとする。そもそも社労士が代理申請をしてくれるとはわからない場合が多い。自分で提出する場合提出書類は多いし作成しなければならない書類もある。それでも初診日要件や保険料納付要件などで問題が生じなければ手間暇かければなんとかなる場合も多い。しかしそこで問題が生じた場合は自分で対処することはほとんど無理であろう。社会保険審査会で傍聴した時に自力で再審査請求まで来ていた方が病院廃院受信状況等証明書が取れず初診日要件を満たせなかった場合に病院が廃院になったと主張していました。残念ながらこの方には要証事実の証明という発想はなく審査会も救済のしようがない様子でした。年金事務所は手続きの方法や必要書類については熟知しているがどのような手段で問題を解決するかについてはそれほど詳しく解説してくれない。

この後が社労士の出番なのである。私のところには障害を4つも5つもお持ちの方や保険料納付要件を満たせづ相談に来た方、他の事務所で断られたり年金事務所でさじを投げ腕の良い社労士に相談しなさいと言われた方が来ます(私が腕がよいかどうかは皆様が決めてください)。はっきり言うとなんとかできるものも多いがどうにもならない場合もあります。このような事例に即答は無理で深く考えたうえで後日答えを出すことにしています。ちなみに考えが浮かぶのはのは机の前に座っているときよりも荒川の土手の上を走っている時や夜一人で寝ているときです。それを前提に障害者の方に依頼の有無を確認することにしています。

このような難問ははじめ一件受けるたびに寝込む毎日でしたが現在ではそういうものなのだということが分かり覚悟が決まりました。来るならどんと来いという心構えでいます。

次にいかに必要な情報を聞き出すかが大きな問題になります。ここで必要不可欠なのはいかに信頼関係を築くかで申請の成功を左右します。たとえば初診日病院が廃院になり実質的証明を行う場合の最終手段である第三者証明を使う場合はその人の交友関係まで調査は及びます。

また子の加算額がつく場合は家族構成にも調査は及びます。

私を選んでくれたとはいえそれだけで全幅の信頼を寄せることは困難でしょう。

常に正直に情報を共有し、業務に起因する問題にはあらゆる手段を講じて対処し、疑問には誠意持って答える、その中で信頼関係が築かれていくと考えています。

次に出てきた診断書が予想外のものであったときは申請の前提となる法律構成を変えることも必要となる。このような事態を避けるために医学的知識を高めること、聞き取りを十分にすること、できれば生活を共にする配偶者や職場の同僚などから情報を得ることにしています。それでもこの問題は生じます。

最後に自力で申請される場合に注意しなければならないのはあくまで問題が生じたときです。

よく聞くのは再申請すればよいという話があります。たしかに請求棄却後事情が変わって障害が重くなった場合は事後重症請求ではあるが十分可能です。しかし取り下げ再申請の場合には申請手続きを無駄にしたとの理由で権利濫用として無効の恐れが生じます。また、初診日要件・保険料納付要件を満たせず請求却下された場合は不服申立てを持って争うしかないであろう。確定すれば一時不再理効が生じたのと同様に再請求は遮断されるわけです。例外的に新証拠の発見など事情が変わった場合には認められることもあります。少なくとも問題が生じたときは専門家に相談することをお勧めします。