不服申立て裁決例 両変形性股関節症

★不服申立て再審査請求社会保険審査会で額改定請求が認められるかを争った事例。

[問題提起]  本件額改定請求において認定対象とすべき傷病は裁定時に認定対象であった

         両変形性股関節症のみであり、第1,3腰椎圧迫骨折、及び腰部脊柱管狭窄症については

         当該対象傷病と相当因果関係のない別傷病であるのでこれを対象傷病とすることはできない。

                                  ↓

          したがって額改定請求における請求人の当該対象傷病による障害の状態が

         国年令別表2級に該当するか問題となる。

 

[規範定立] 国年令別表2級は「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と

        同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に

        著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」(15号)が掲げられている。

                                  ↓

         障害の程度を認定するためのより具体的な基準である障害認定基準があるが給付の公平を

        期するための尺度としてこれに依拠するのを相当とする。

                                  ↓

         15号に該当するには両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの、例えば両下肢の

        3大関節中それぞれ1関節の他動可動域が参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ

        筋力が半減されているものをいう。

 

[あてはめ]  1 左股関節

             人工関節置換術

             他動可動域(屈曲 伸展の合計) 80

             筋力 屈曲 著減   伸展 半減

          2 右股関節

             人工関節置換術

             他動可動域(屈曲 伸展の合計) 80

             筋力 屈曲 伸展 ともに半減

          参考可動域 140

 

[結論]  股関節の他動可動域は左右ともに2分の1に制限されていないので2級に該当しない。