職権主義と当事者主義

不服申し立てでは職権主義が取られていると別項で論じてきた。また訴訟では当事者主義が取られている。もちろん純粋な形でとられているわけではない。

ここで職権主義とは審理の進行整理が裁判所の主導のもとで行われる原則をいう。当事者主義とは審理の進行運営を当事者の権限ないし責任とみて裁判所が積極的に関与することを認めない原則である。

そして法律要件に当てはめる事実があって法律効果が生じることから事実の有無が争点となりそれを証明するために証拠調べを行う。

ゆえに当事者の申し立てを待たずに裁判所が調査を開始するのが職権調査である。これに対し当事者に認めるのを処分権主義という。

さらに事実の主張及び証拠の提出を裁判所の責任とするのが職権探知であり、当事者の責任とするのが弁論主義である。

不服申し立てでは基本的に請求人が争点を見つけ出し請求の趣旨理由とし証拠とともに提出します。ただしこれだけで不十分な場合は社会保険審査官・審査会が調査を開始します。それゆえに利用しやすい制度といえます。もっとも申し立てにより口頭での意見陳述が認められるなど当事者の手続き保証をはかる規定もおかれています。ただし訴訟のように当事者間の主張立証を通じて事実認定を行うわけではないので手続き保証という面では不十分である。

これに対し取消訴訟では当事者主義をとるが行政訴訟の審理の充実・促進という観点から釈明処分の特則が認められている。

ここで釈明処分は当事者の弁論の内容を明らかにして訴訟関係を明瞭にすることにある。

また、取消訴訟の審理やその結果は公益性を有することから裁判の適性を確保するために職権証拠調べも認められている。

このように行政訴訟では口頭弁論を通じて当事者が主張立証を繰り返し事実の認定が行われるが、公益的な性格から一定の範囲で職権主義が取られている。