抑うつ神経症(障害等級)

[問題] 障害認定日及び裁定請求日における請求人の抑うつ神経症の状態が国年令別表に該当するか。

[論理] 精神の障害により障害等級2級の障害基礎年金が支給される障害の程度としては国年令別表(16号)が掲げられている。

 そして障害の程度を認定するためのより具体的な基準として障害認定基準があるが給付の公平を期するための尺度としてこれに依拠するのを相当とする。

 精神の障害の程度はその原因・諸症状・治療及びその症状の経過・具体的な日常生活状況等により総合的に認定するものとし、日常生活が著しい制限を受けるか、または、日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級とする。

 抑うつ神経症は[神経症]という名称であるが[気分変調症]に含まれ「躁うつ病」の公により認定するのを相当とする。

 そして躁うつ病で障害等級2級と認められるものの一部例示として「気分・意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたはひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの」があげられている。

 そして躁うつ病は本来症状の著名な時期と症状の消失する時期とが繰り返すものであるので、現症のみによって認定することは不十分であり、症状の経過及びそれによる日常生活活動等の状態を十分考慮する、とされ、日常生活能力等の判定にあたっては、身体的機能及び精神的機能、特に、知情意面の障害も考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。

 本件において障害認定日及び裁定請求日において障害の状態はいずれも日常生活が著しい制限を受けるか、または、日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度に該当する程度にあるとまではいえない。

 以上より2級の程度には該当しない。

[解説] 神経症は原則として認定の対象とはならない。自己治癒可能性と疾病利得を有するからである。

 もっとも精神病の病態を示しているものは認定の対象となる。これは神経症が精神病の偏見を避けるためにつけられることがあるからである。

 本件における抑うつ神経症は気分障害の中の気分変調症に含まれている。

 勉強は怠らないようにしなければならない。