筋委縮性側索硬化症(認定日)2

★不服申立て再審査請求の裁決例を使ってできるだけわかりやすく論理の流れを追ってみました。

[問題提起]         初診日から1年6月以内に入院中人工呼吸療法を開始していることから

                       この日が障害認定日になるのではないか。

 

[規範定立]          障害の程度を認定するためのより具体的な基準である障害認定基準があるが

                    給付の公平を期するための尺度としてこれに依拠するのを相当とする。

                                        ↓

                      ここで「障害認定日」とは障害の程度を行うべき日をいい、

                  初診日から起算して1年6月を経過した日又は1年6月以内に治った日をいう。

                                         ↓

                  ただし在宅酸素療法を施行中のものについては在宅酸素療法を開始した日から

                              (初診日から1年6月以内の日に限る)とする。

 

[あてはめ]             ここで保険者は人工呼吸療法については酸素療法と同様に考えられるが

                   障害の状態とは「その状態が長期にわたって存在する場合」と規定している。

                     そして障害認定に当たっては現に加療中の傷病で死亡の転帰が予測される場合は

                   1年6月を経過しないで永続的な障害の状態にあるものと認定していない。

                     また入院中における酸素療法は重篤な状態にある場合に行われるものであり

                   安定した状態を前提とした在宅酸素療法とは異なる。

                                          ↓

                     障害認定基準において「障害の程度を認定する時期は在宅酸素療法を開始した日

                   (初診払起算して1年6月以内の日に限る)とする]のみ定めているのみであり

                   それ以上の要件や除外事由の定めはない。

                     本件の病状の推移や現状、予後からすれば請求人についてはもはや大きな

                   治療方法の変更や症状の改善が考えられる状態にない。

                    「在宅酸素療法」は一時的なものではなく、かつ、24時間の酸素療法の施行と

                   いうことに意味があり請求人が入院中であることのみを理由に該当しないとすることは

                   その後退院し在宅での実施に変わっていることからして相当ではない。

 

[結論]  したがって、人工呼吸療法を開始した日を障害認定日とする。