広汎性発達障害(初診日)

[問題] 初診日はいつか。

[論理] 初診日については直接その診療に関与した医師等又は医療機関が作成したもの又はそれに準ずるような高い証明力を有する資料に基づいてしなければならない。

 本件における資料は3店あるが、ここに記載された初診日では保険料納付要件を満たせない。そこで以下の主張がなされた。

 本来的に先天性疾患である広汎性発達障害については同じく医学的先天性の認められる精神遅滞と同様に初診要件を問わない20最善障害として扱うべきである。

 これに対し現在の医学上の一般的知見としては広汎性発達障害と診断される症例は障害基礎年金の障害を支給事由とする年金給付にかかる初診日の取り扱いにおいて先天性の障害を理由に20歳前に初診日があったものとされている知的障害の場合とは異なり幼少時からある程度の臨床症状を呈することがあっても、多くの症例では20歳前後の時期において人間関係の樹立等社会生活上の具体的な障害が発現し顕著になってくるとされている。

 とすると当該傷病は先天的要因とされている面はあるも初診日に関して知的障害とまったく同列に扱うのは相当とはいえず、当該傷病について具体的な臨床症状あるいは自覚症状が発現しそれが日常生活や社会生活を営む上で障害となり、そのために医師あるいは医療機関を受診した期間をもってそれにかかる初診日とするのを相当というべきである。

 したがって、請求人の当該傷病の初診日は20歳前にあるとは言えない。

[解説] 本件では広汎性発達障害が知的障害と同様に初診要件を問わない20歳前障害とされるかが問題となったが当該傷病の性質から否定されたものである。