向精神薬の乱用

ここで向精神薬とは簡単にいえば精神に作用する薬をいいます。向精神薬には高うつ財・抗不安薬・睡眠薬・抗精神病薬・気分安定薬などがあります。向精神薬は不眠やイライラをなくす薬ですが乱用すると慢性的な倦怠感、筋肉の運動機能が低下して歩けなくなる、感情不安定になり妄想が現れる、突然凶暴になったりするなどの症状が出る。それゆえに麻薬または抗精神病薬取締法は向精神薬の譲渡を厳格に制限している。

では向精神薬を乱用して障害を負った場合障害年金は出るのであろうか。

別項でも述べたが故意に障害を生じさせた場合は絶対的不支給事由に当たる。そして「故意」とは自分の行為が必然的に障害または死亡等の一定の結果を生ずべきことと知りながらあえてすることをいう。そして結果の発生を知るか否かは通常の判断能力を有する一般人の理解でその行為からその結果が発生する事が読み取れるかどうかで判断する。

①向精神薬を違法に入手して乱用した場合

向精神薬は一般の処方箋薬よりも厳格に管理を要求され、譲渡をするにも厳格な制限がついていることは啓発活動により周知されている。また、向精神薬を通常入手するには医師の処方箋を必要とする。そして向精神薬の副作用は通常の判断能力を有する一般人の理解で十分に判断できる。

とするならば障害結果が生じることを知りながらあwて行ったということができる。

したがって絶対的不支給事由に当たる。

②医師の処方箋に基づいて入手しているがいくつもまわって大量の向精神薬を入手した場合。

医師は患者の治療に最善を尽くし、より高度の治療が必要な場合は特定機能病院等を紹介する。それゆえに同じ傷病に対していくつも病院にかかることは想定していない。また薬の飲み合わせについては処方箋薬局でチェックする事になるが異なる薬局を利用すれば意味はない。

この入手方法は法の予定していないもので脱法行為といえよう。

そして治療のため適法に入手したとはいえ一つの処方箋で治療としては十分でありいくつも使って入手した向精神薬を使用する事はまさに乱用といえよう。

とするならば障害結果を知りながらあえて行ったといえよう。

したがって障害年金の絶対的不支給事由に当たる。

③おそらくこんなことはないであろうが医師が患者の要求に応じて大量の向精神薬を処方した場合

たしかに形式的にみれば医師の処方箋に基づいて向精神薬を入手していることから問題はないかに見える。しかし医師は患者の治療に最善を尽くし治療に必要な限度において向精神薬を処方する義務がある。

とすると患者の治療に必要な範囲を超えて向精神薬を処方することは許されない。

したがって患者の治療の範囲を超えて処方された向精神薬を服用する事は障害結果を知りながらあえて行ったといえる。

よって障害年金の絶対的不支給事由といえる。