病歴就労状況等申立書について

病歴就労状況等申立書は主張する傷病の請求人の側からみた現実の状態を記載します。

 ここでのポイントはウソにならない範囲でより重い状態を表現するです。したがって不利なことは書きません。有利なことのみ書くようにしてください。

 次によく病歴就労状況等申立書は診断書と同じに書かなければならないという人がいますが必ずしもそうとはいえません。すなわち医師の判断はあくまでも医学的観点から書かれているので現実の状態とは違うことがよくあります。これを防止するために診断書の依頼の際に医師に現実の状態を伝えるのですが、出来上がった診断書が現実の状態と違ったのならば遠慮なく訂正請求をしましょう。それでも違うのならば病歴就労状況等申立書にはっきりと書いてください。プラスして自分のことをよく知る友人などに一筆書いてもらいましょう。

 ここでひとつ言っておくと病歴就労状況等申立書は請求人の立場で書かれます。それゆえ障害年金を受給するため重く書きたくなるのが人情です。そのため病歴就労状況等申立書は診断書と論理的整合性を有する場合に証明力が強くなります。しかし診断書が現実の状態を反映していない場合には病歴就労状況等申立書で現実の状態を記載して、別途病歴就労状況等申立書の内容の真実性を補強する証拠を添付することにより証明力を回復させることになります。

 この訂正請求ですが診断書に訂正がありそこが問題になる場合には機構が判断する際に照会をかけてくる場合があります。すなわち訂正請求は請求人の申し立てにより訂正したことになります。裁決例では照会の内容次第で客観性公平性が失われると判断されるものもあります。これは請求人にとってマイナスの影響を及ぼします。

 では病歴就労状況等申立書を見てください。病歴就労状況等申立書の書き方について少し考えてみます。

 まず病歴就労状況等申立書の裏の部分は、障害認定日、現在と別れていて問いに答える形で書いていけばいいのでわかりやすいと思います。日常生活の制限は1234という順に等級非該当、3級、2級、1級と大雑把に考えてください。問題は表です。

診断書は障害認定日並びに現在の障害の状態を医師の観点から判断するので点を表すことになります。これに対し病歴就労状況等申立書は発病から、現在の障害の状態を請求者の視点で書いていくことになります。それゆえに病歴就労状況等申立書は発病時から現在までの障害の状態を線・流れとして見ていくことになります。

 そして障害年金は少なくとも一年以上の長期の生活保障であることから診断書の予後欄と病歴就労状況等申立書の流れを見てどのくらい障害の状態が続くかを判断します。これにより有期認定1年から5年まで、または永久認定にするかを判断する材料にします。

 次に障害等級は傷病から発する症状が労働能力・日常生活能力にどの程度の影響を与えるかで決まります。

 とするならば記載欄には簡単にその時の傷病の状態を記載した上で、学生生活・仕事・日常生活にどのような影響を与えているかを記載します。たとえば仕事の種類と内容を書いた上で、休まず続けられるのか、支援内容は何か、支援がなかったら仕事は続けられるのかを中心に書きます。

 きちっと給与が出ている場合はなぜ出ているのかその特殊性を書きます。たとえば、父親の事業でそこを手伝っているため給与は通常どうり出ている、その者の持つ能力を高く評価されていて大きな支援にもかかわらず通常の給与が支給されているなど。つまり給与が通常通り出ているということは労働能力があるとみられるので、支援がなければ働くことはできないということを証明していくわけです。またこの場合は会社の証明書など記載を補強していく必要が出てきます。

 また働いていない場合は傷病との関係で働けない理由を書きます。

 さらに学生の場合は学生の本分は勉強であるので講義の出席状況・単位の取得状況・学友との関係・通学の状況など傷病との関係で書いていきます。

 知的障害などで普通学級を選ばれた方はなぜ普通学級を選んだのか、普通学級での学生生活は傷病との関係でどうであったのか、きちっと出席しているか、勉強はついていけるのかを書いていきます。当然支援学級・支援学校を選んだ方も傷病との関係で学生生活を書きます。また成績も考慮に入りますので有利に働く場合は記載します。

 次に日常生活は普通の生活をする能力のことです。診断書にそって書けば、健康を保持するためのバランスの良い食事をし、健康を害せば医師の指示の下服薬をし、人に不快感を与えないように清潔を保持し、他者との関係を築き、必要な物を計画的に購入し、危険から身を守り、銀行・役所の手続きをする能力です。これがその時々の傷病から発する症状によってどのくらい制限されているかです。

 当然制限されている部分を強調してそれ以外のことは書かないこと。ウソにならない範囲でより重い状態を表現するです。お分かりですよね。

 ここで診断書に一人暮らしをしていると書かれた場合は注意を要します。すなわち、一人暮らしをできることは日常生活能力があると判断されるからです。そこでなぜ一人暮らしができるのか、例えば近くに両親が暮らしていて身の回りの世話をしてくれるなどを書いていきます。

 次に時系列に沿って考えてみると簡単にいえば発病・初診日・転医の順序で書きます。この間で通院を中断していた場合はそこでも区切りを入れます。この中で病状の大きな変化があればそこで区切りを入れます。大きな変化がなければ小学校・中学校・高校と区切りを入れます。

 特に障害認定日と現在の状態については非常に重要ですので厚く書いてください。

 ちなみに一つの欄にまとめなければならないものではなく、記載すべき事項があれば2つ3つの欄を使って書いてもかまわないし、別紙に記載してもかまいません。

 

 ただしわかりやすく、すなわち現在の障害の状態・労働能力への影響・日常生活への影響・特に付け加える事項の順で書いていくのがよいと思います。