うつ病(障害等級)

★等級判定ガイドラインが出ていますがまだ使われてはいません。しかし実務には影響があると思われます。そこで過去の裁決例を使ってどのように使われるのかを探ってみたいと思います。

[問題提起]  障害認定日における請求人のうつ病の障害の程度が2級の程度に該当するか。

 

[規範定立]  国年令別表2級は「精神の障害であって前各号と同程度以上と認められる程度のもの」

        (16号)とする。

                                    ↓

         そして障害の程度を認定するためのより具体的な基準として障害認定基準があるが給付の

        公平を期するための尺度としてこれに依拠するのを相当とする。

                                    ↓

         精神の障害の程度はその原因。諸症状・治療・及びその病状の経過・具体的な日常生活

        状況等により総合的に認定するものとし、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に

        著しい制限を加えることを必要とする程度の者を2級とする。

                                    ↓

         そして躁うつ病による障害として2級に相当するものとして「気分・意欲・行動の障害及び思考

        障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため日常生活が

        著しい制限を受けるもの」があげられる。

                                    ↓

         躁うつ病は本来症状の著名な時期と症状の消失する時期とを繰り返すものであるので、

        現状のみで認定することは不十分であり、症状の経過及びそれによる日常生活活動等の状態

        を十分考慮するとされ日常生活活動能力等の判定にあたっては身体的機能及び精神的機能

        特に知情意面の障害も考慮の上社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。

                                    

[あてはめ] 1病状  抑うつ状態と軽度の精神遅滞、午前中は気分が落ち込み症状の変動があり、身体

         化症状と思われる左腹痛は時に憎悪し、日常生活において困難なことがあると不安や抑うつ

         を生じることがある。もっとも抑うつ気分は初診時に比べると改善傾向にある。

 

         2日常生活能力の判定  1,57

          適切な食事摂取  →  できる 1

          金銭管理と買い物 →  同上

          通院と服薬     →   同上

          身体の清潔保持  →  概ねできる 2

          対人関係      →   同上

          危機対応      →   同上

          社会性       →    同上

 

          3日常生活能力の程度   (2)

 

           これを等級判定ガイドラインの障害等級の目安の当てはめれば3級か3級非該当である。

           あとは考慮すべき要素として例示されているものされていないものを含めて総合評価して

          いく。

           本件で抑うつ状態はあるものの日常生活活動の判定を見るかぎりそれほど重くをなく改善

          されていく傾向にある。

           また軽度の精神遅滞に対しても日常生活に大きな影響を与えているとはいえない。

 

[結論]       したがって2級には該当しない。