170 障害年金 妄想性障害(額改定請求)

 今回は妄想性障害で障害等級3級認定されていたものが額改定請求した事例になります。本件の特殊性は審査請求で請求棄却されたことから再審査請求では3級認定される事実の確認を求めています。

 ここで法律には法律効果と法律要件が定められ、法律要件に事実をあてはめることにより生じる法律効果により訴訟物の存否を判断します。

 そして訴訟類型としては給付・形成・確認の訴えがあります。

 給付・形成・確認の訴えを提起するためには訴えの利益がなければなりません。

 訴えの利益がないのに有限な裁判所という機関に過度の負担を強いることとなり本当に必要な審理を遅らせる原因となるからです。

 そして確認の利益とは権利法律関係の確認を求めることにより紛争解決に資することが必要となります。

 では事実の確認は認められるのかですが、事実の確認取りも権利法律関係の確認の包がより直接的であることから原則として認められません。しかし紛争解決に資する場合には例外的に認められることもあります(民事訴訟法134条参照)。

 本件では不服申立てですから確認の申立てがなされていることになるでしょう。では確認の申立てをする利益はあるのでしょうか。

 妄想性障害で障害等級3級の要件は「傷病が治らないで性心に労働が制限を受けるか、または 労働に制限を加えることを必要とする程度の精神の障害を有するものであって厚生労働大臣が定めるもの」である。この要件に当てはまる事実を確認することは障害厚生年金3級の受給権を発生させる障害等級に当たる事実を満たすことを意味する。とするとすでに3級認定されている現在において3級認定される事実の確認を行ったとしてもなんら紛争解決に資するものではない。また、3級認定されていることから3級認定される事実を保険者は認めているのであり両党自社間に紛争はないことになる。

 したがって実態審理に入るための要件を欠き請求は棄却されました。