慢性腎不全(障害等級)

★不服申立て再審査請求の裁決例を使ってできるだけわかりやすく論理の流れを追ってみました。

[問題提起]    現状診断書提出当時の当該傷病による障害の状態が障害等級2級に該当しないか。

 

[規範定立]   2級の障害の程度としては国年令別表に「身体の機能障害又は長期にわたる安静を必要と

         する病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって日常生活が著しい制限を受けるか

         又は日常生活が著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」(15号)である。

                                    ↓

             障害の程度を認定するためのより具体的な基準として障害認定基準があるが

               給付の公平を期するための尺度としてこれに依拠するのを相当とする。

                                     ↓

                  腎臓移植を受けたものにかかる障害の認定は次のとおりである。

            ①臓器移植を受けたものにかかる障害認定に当たっては術後の症状・治療経過及び

            検査成績等を十分に考慮して総合的に認定する。

            ②障害等級に該当するものが臓器移植を受けた場合臓器が生着し、安定的に機能する

            までの間少なくとも1年間は従前の等級とする。なお、障害等級が3級の場合は2年間の

            経過観察を行う。

 

[あてはめ]1 最近1年間の治療の経過・内容

        IgA腎症にて人工透析導入、その後生体腎移植を受け現在外来にて免疫抑制療法中

 

       2 臨床所見

        自覚症状・他覚所見ともに何もなく、腎機能に関して特段問題があるとまではいえず、肉体労働

       は制限を受けるが刑作業は可能とされている。

 

       3 一般状態区分

        イ 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行・軽労働や座業はできるもの。

 

       4 日常生活活動能力及び労働能力

        日常生活自力にて可、軽作業可

 

       5 予後

        長期的には慢性拒絶反応にて腎機能低下の可能性あり

        IgA腎症再発の可能性あり

 

[結論]  障害等級2級の程度にはない