障害年金 神経症について

神経症にあってはその症状が長期間継続し一見重症なものであっても原則として認定の対象とならない。ただしその臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては統合失調症または気分(感情)障害に準じて取り扱う。

まず神経症はどのように理解されているのでしょうか。

ここで人間社会の中ではだれもが自己の持つ欲求を抑圧して生活しています。多くの人はこの欲求の抑圧に成功しています。しかし一部にこの欲求に耐えられずに神経症が発症する事になります。

つまり神経症は性格的要因に心因(環境的要因)が作用して生じると考えられています。

とするならば環境的要因を除去すれば治癒する可能性は十分にある。また性格的な弱さから仕事からの逃避を認めることはできない(一種の甘えを許さない)。

そのため障害年金の生活保障から対象をはずすことによって、本人自身の努力で傷病を治させようとしたのであろう。

しかし神経症はその後の研究により単に性格的要因や環境的要因のみと考えることはできず生物学的要因があることが明らかになってきている。

たとえば不安障害の一つであるパニック障害は客観的に不安を引き起こす状況とは無関係に発症することから環境的要因との結びつきとはそれほど強くはありません。これに対し薬物の使用により同様の症状を効率に引き起こすことができます。これは何らかの生物学的要因を持っていることが推測されます。

このように単に神経症と診断されたからといってそれだけで障害年金の対象から外すということはできないであろう。

すなわち傷病を引き起こしている環境を除去する事によって治すことはできるのか、その症状は本人の性格的要因から生じたものではないかを厳密に調べたうえで、本人の症状(精神病の病態)が障害等級に該当するかを慎重に判断するべきである。

繰り返すが神経症という傷病名だけで安易に障害年金は支給されないということはできないであろう。