不適法な審査請求(不服申立ての処分がないもの)

[問題] 事後重症請求で請求認容されたのに対し障害認定日からの給付を求めて審査請求・再審査請求できるか。

[論理] 請求人は事後重症による裁定請求を行っている。

 したがって厚生労働大臣が事後重症による裁定請求として受理して原処分に及んだことは妥当な措置である。

 本件裁定請求は事後重症による裁定請求のみであり障害認定日による裁定請求に対する処分をしたことはなく不服申立ての対象となる処分を欠く

 そして、不服申立ての対象となる処分がないのであるから審査請求をすることができない。

 したがって本件審査請求は不適法なものといわざるを得ずその不備は補正できず却下すべきである。

 また、本件再審査請求も適法な審査請求をなされないで行われたのであるから不適法でありこの不備を補正できない。

 よって再審査請求を却下する。

[解説] まず裁定請求は請求の対象について判断します。

 また審査請求・再審査請求は裁定請求の結果行われた処分に対して判断を行います。

 本件では事後重症請求が行われ認容決定が出た後認定日よりの支給を求めて審査請求していることから何ら処分は行われておらず不適法却下された事例である。

 判例によると「処分」とは直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定する効果を伴うものを言う。