不服申立と取消訴訟の意味

障害年金裁定請求で請求棄却された場合は不服申立審査請求で争い、再審査請求か再審査請求を飛び越えて訴訟への道が用意されている。そして訴訟では3審制が用意されている。地裁高裁は事実審(事実認定と法的判断を行う)、最高裁は法律審(原判決を法律違反の点から審査し事実や証拠は事実審で収集されたものを用いる)である。皆さんはおわかりのとうり裁判は司法権の独立の観点から政治的影響力を排している。行政は選挙により選ばれた議員で構成する国会の指名により内閣総理大臣は選ばれるが(国民主権原理の表れ)、実際には多数派の意思が強く働く。そのため政治的影響力のない少数派の人権保障をはかるため内閣は法律に従って行動し、その行動は司法により審査され、行政は国と地方とに分割され、内閣から独立した会計検査院が設置され恣意的な行動は常に抑制されている。行政手続きは政治的影響力が大きく影響する機関であるから行政とは異なる機関である訴訟への道が用意されている。

一方、裁判所の有限な機能を有効活用するためには行政自身で是正するための制度を用意する必要がある。それゆえに社会保険審査会は身分保障が十分になされるのである。また社会保険審査会を構成する元裁判官・医師・社労士も同様である。

さらに行政は専門的知識を有しており迅速な問題か解決が可能となる。

それゆえに前進としての不服申立審査請求再審査請求が用意されているのである。

ではなにゆえに司法審査は三審制が用意されているのであろうか。

それは真実は当事者のみが知りうるものでありすべてを明らかにすることは不可能であるからである。それゆえに手続き保証を十分に与え公開の法廷で裁判を進めることを権利として保障したのである。そうすることでいいたいことはすべて言った、やるべきことはやりつくした、あとは中立公平な裁判官の判断に任せるということである。

これは刑事手続きを見れば明らかな通り判決が確定するまでは被告人は無罪の推定が働くことからも明らかである。よく捜査機関は被告人の人権保障のことをいうと被害者の人権保障はどうなるんだと反論する。被告人が真犯人か否か不明なのにこの反論は的を外したものであろう。ここに冤罪の温床の原因の一つがあります。

障害年金は国民年金・厚生年金に加入しているものの権利です。そしてこれが権利を実現するために法が用意した実現手段ということになります。

 

講義5 講義5-2 講義6は不服申立て再審査請求の裁決例を紹介したものです。合わせてこちらも御覧ください。