51 障害年金 てんかん(障害等級)

 今回はてんかんで障害等級が問題になった事例について少し考えてみようと思います。

 本件では障害認定日請求をしているので原則として障害認定日後3ヶ月以内の診断書が必要になります。本件ではこの点が問題なっていますがてんかんの特殊性についてちょっと書いてみようと思います。本件では障害投球3球が問題になっているわけですが障害認定基準では「十分な治療にかかわらずてんかん性発作のA又はBが年に2回未満、もしくはC又はDが月に1回未満あり、かつ労働に制限を受けるもの」が掲げられている。当然にその他の精神疾患を併発していない場合には日常生活能力の程度・判定は評価されにくい。それゆえに発作がいつ発生するかわからないことからいかなる制約が生じるのかを考える必要がある。筆者の経験では知り合いがプールのシャワー室で意識を失い倒れたことがあります。又レストランで食事中にひっくり返ったことがあります。プール内では命の危険が生じ、おそらく自動車、バイク、自転車の運転もやめた方がよいでしょう。また発作は時・ところを選ばないことから対策を考える必要があります。これを一人で行動したらどうなるかを考えていきます。

 ここで障害等級認定適格資料としては認定すべき時期に直接診療をした医師または医療機関が作成した診断書、もしくは診療録等の医証に元図いた診断書、もしくはこれらに準ずる証明力の高い資料でなければなりません。これは不服申立てが簡易迅速な手続きで国民の権利利益を守るために証拠調べ手続きを省略し、代わりに信用性の高い資料で事実認定をしていこうとする趣旨です。

 本件では障害認定日請求をしているので障害認定日後3ヶ月以内の医証に基づいた診断書が必要であり提出できていません。とすると認定できないのが原則となります。

 それゆえに医師3名の判断が現在の状態から障害認定日の障害の状態が同一であるとしても、その根拠が客観的な資料の基づいていないので採用されませんでした。

 したがって障害認定日の障害の状態は判断できず請求は棄却されました。