社会的治癒について

社会的治癒とは医学的にみて治癒(症状固定の状態)していないことから同一の傷病と認められる場合でも別個の傷病とすることをいう。

1 では社会的治癒は認められるのであろうか。

ここで国民年金・厚生年金は少ないお金を出し合って困ったときに助け合う保険でありその目的は労働能力が失われた場合の生活保障にある。

とすると生活保障を実現するために保険という制度を用いるのならば払い込んだお金に見合った年金の支給は保険という制度の趣旨には反しない。

おもうに障害年金は初診日に加入している年金から支給されることから国民年金加入時にたまたま被患した時はその後厚生年金期間が何十年あっても年金額には反映しないことにある。

これは年金受給が労働能力の喪失であることから働くことは例外と考えていることから起きる問題である。

これは生活保障を実現するために保険という制度を用いた趣旨(払い込んだお金に比例して受け取れる)に反することになる。

とするならば医学上治癒したとは言えないがそれと同等の場合には治癒したとみてよいと考える。

ここで医学上治癒したとは言えないがそれと同等の場合といえるとは長期間にわたって医療を必要とせず社会生活を送るにいたった場合をいう。

そして長期間とはここの年金受給権は5年で時効消滅し、カルテも5年を超えると廃棄されることが多いので5年を超えることが一応の目安となるといえる。

また、まったく医療機関に通わずに社会生活を送れる場合は当然に含まれる。

仮に通院が必要としても傷病のコントロールのためではなく単に傷病から発生する症状をコントロールするだけの場合にも使えるのではないだろうか。

2 次に初診日の立証ができない場合に社会的治癒の主張をすることはできないであろうか。

おもうに初診日の特定はいかなる年金を支給するか、保険料納付要件、障害認定日を特定するのにも重要である。一方カルテの廃棄など初診日の特定が困難な場合もある。当たり前の話であるが初診日は必ずある。

とすると保険料の納付に見合った年金の支給という観点からは認めても問題はないであろう。

ただし長期間にわたって医療を必要とせず社会生活を送ったという要件を立証できればの話である。

3 次に保険者の側から社会的治癒を主張できるであろうか。

ここで労働能力が失われた場合の生活保障のために保険制度を利用した趣旨からすればあくまで被保険者の利益のためにのみ認められるべきである。

とするならば保険者の側から主張することは許されないというべきであろう。