多発性硬化症(初診日)

[問題] 本件では初診日がいつかが問題となる。

[論理] 初診日に関する証明書類は直接これに関与した医師または歯科医師が作成したもの、または、これに準ずるような証明力の高い資料でなければならない。

 そして多発性硬化症とは中枢神経と視神経に脱髄という病変ができる疾患であり脱髄という病変ができるとその部分の神経が障害され、その部位に起因する症状をきたすことが医学上の知見として広く知られている。

 本件において保険者は左上司のしびれは消失しており交通事故に起因するしびれと考えている。

 これに対し請求人は多発性硬化症と診断される前のしびれが継続していると主張しているが、何らそれを裏付ける資料の提出はなく採用できない。

 以上より請求人が多発性硬化症と診断された病院を始めて受診した日が初診日とみるのが相当である。

[解説] 本件は多発性硬化症の性質から交通事故のしびれが初診日となるか否かが問題となった事例である。

 請求人はしびれの原因について何ら立証しておらず保険者側の主張が採用されている。

 これも法律要件分類説の考え方を採用していると考える。