準法律家の使命

最近よくない話で社労士が話題に上りました。社労士が業務を行う視点というのは何なのでしょうか。

講義2「憲法と障害年金Ⅱ」の中で憲法は国政に民意を反映させていくというお話をしました。国民は選挙によって議員を選び議員が構成する国会で法律を作り、行政が法律を執行し、司法が憲法に基づいて判断する。憲法の目的は人権保障にあるのだからその観点から法は解釈されなければなりません。

また司法権の独立により政治的影響力を廃し自由主義に基づいて司法は判断しなければなりません。

とすると立法行政は民意の反映が目的であるのに対し、司法は民主性の過程で保護されなかった者を守る最後の砦、すなわち行き過ぎた民意を是正する機関といえよう。

その意味で司法を構成する法曹は弱者救済、人権保障が目的となります。

そして法律家といえば法曹を指します。

法曹はあらゆる法律を駆使して人権保障をはかります。

社労士の使う法律はその中のごく一部です。しかし法律を使う資格として準法律家といえるでしょう。

とするならば社労士も弱者救済の視点を忘れてはなりません。

社労士の仕事は大きく分けて労働保険関係・社会保険関係の2つに分けられます。

労働保険関係の仕事は通常会社の経営者と契約します。それゆえ会社側の視点で行動するようになります。しかし労働法は憲法の趣旨(基本的人権の尊重)を実現するものなので経営者と比較して弱者である労働者の権利の実現を中心にして規定されています。社労士は経営者に法を守らせることで労働者の人権保障をはかるわけです。この範囲を逸脱することはできないでしょう。

次に社会保険関係の仕事は会社の経営者と契約する場合と個人と契約する場合があります。会社の経営者と契約する場合は労働保険関係の契約をする場合と同じことが言えます。これに対し個人と契約する場合はその依頼者の意思に沿って動くことから人権保障という面では問題が生じません。一生懸命に仕事をこなせばよいのです。あとは料金ですよね。双方が納得いく料金ならば問題がありません。しかし障害者の方はどのくらい知っているのでしょうか。

我々社労士は個人のお客様を対象とする場合には宣伝広告が欠かせません。もちろん口コミは大切です。そこまでの知名度を築くには多くの仕事をこなす必要があります。よく料金が安いのは理由がある、高いには理由がある、高い受給率や着手金無料、確かに理由があります。

私は利用してはならないと言っているのではありません。私も宣伝はします。しかしすべて料金に反映されることから自ずと限界があるだろうと言っているのです。

雑誌広告・ネット広告ばかになりません。NPO法人が年会費・月会費・成功報酬から20%の納付金、大手の福利厚生を扱う会社から一件5~6万円くらいの手数料・・・・・・・果てはありません。

適正な料金はどのくらいでしょうか。20万円の成功報酬が批判されていることと合わせて少し考えてみたいものです。