広汎性発達障害(再審査請求却下)

 本件は広汎性発達障害で再審査請求が却下された事例です。

 事後重傷請求2級が認定されていますが有機認定であることから、次回診断書提出指定日の取り消し及び診断書提出を不要とすることを求めるものです。早い話永久認定にしてくれということです。

 本件裁決例は審査対象となる処分の性質、並びに診断書提出の理由を丁寧に述べていることから大変に勉強になります。

 まず社会保険審査会法の対象となるのは国民年金法では「被保険者の資格に関する処分」「給付に関する処分」「保険料その他国民年金法の規定による徴収金に関する処分」が明記されている。

 そして不服申し立てに納得がいかない場合には取消訴訟になることから行政事件訴訟法にいう「処分」と同義と解され、行政庁の法令に基づく行為のすべてを意味するものではなく、公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められているものをいうと解する。

 次に診断書提出の理由について考える。

 まず障害年金受給者は厚生労働省令で定める書類の提出義務がある。

 そして厚生労働大臣が障害の弛度の審査が必要と認めて指定したものは診断書の提出義務が生じる。

 その上で診断書が提出されない場合には支給停止することができる。

 とすると現状診断書を提出すべき期日の指定は、年金給付の額の全部一部停止す決定する前段階として、保険者内部における意思決定をするための手続きの一環として行われる事実行為であって、当該受給権者の受給権の得喪、消長及び範囲等に何らの影響を与えるものではなく、その行為によって当該受給権者の権利義務を形成し、またはその範囲を確定する効果を伴うものではない。

 すなわち診断書を提出すること自体は何ら受給権に影響を与えるものではない。

 ならば「被保険者の給付に関する処分」には当たらない。

 とすると次回診断書指定日の取り消し及び診断書提出することを不要とすることを求めることは不適法となることから却下されている。

 結局診断書提出後、等級不該当などの給付に関する処分が出されてから請求してこいということです。