54 障害年金 強迫性障害(障害等級)

 今回は強迫性障害で障害等級が問題になった事例について少し考えてみようと思います。

 ポイントは強迫性障害は神経症に分類され、神経症は原則として認定対象とはなりません。精神病の病態を示しているものについては統合失調症または気分障害に準じて扱うとされています。

 では精神病の病態とは何かが問題になりますがよくわかりません。

 神経症を認めない趣旨は治そうと思えば直せるのに直さないで障害年金を受給させることは許されないと言うことです。そして精神病への偏見を避けるために神経症の傷病名がつけられていたことを考え合わせれば神経症という診断であっても自己治癒可能性がなく精神病と同レベルの労働能力・日常生活能力の制限を受けている場合を精神病の病態というのではなかろうか。

 本件において重傷強迫性障害であり生命の危機的状況にあっても脅迫的こだわりは修正不能とされている。これは妄想性障害には該当しないが強迫性障害の重症度において精神病水準の病態にあるものと診断されている。

 これに対し裁決例は強迫性障害はその病態に照らして特に重症例においては必ずしもすべてが心因的なものであって神経症に見られる自己治癒可能性・疾病利得があるものとは考えられないことなども考え合わせると障害認定日における請求人の当該消防における病状は精神病の病態を示していると考えるのが相当である。

 すなわち障害認定基準でも裁決例でも神経症であることから直ちに認定対象とならないとはいえないわけです。