障害年金 うつ状態・持続性気分障害(初診日)

 今回はうつ状態・持続性気分障害で初診日が問題になった事例について少し考えてみようと思います。

 本件では社会的治癒の主張がなされています。社会的治癒は厚生年金被保険者期間を無駄にしないという趣旨が含まれており保険者はこれを主張することはできません。それ故に本来の初診日と、社会的治癒を主張した後の初診日のどちらが有利かを見極めなければなりません。

 そして初診日に関する証明資料は障害の状態を認定すべき時期において直接に関与した医師または医療機関が作成したものまたはこれに準ずるような証明力の高い資料でなければなりません。

 本件で初診日認定的確資料はいろいろありますがそれを総合してみると、鬱状態ではじめに受診したのは学生の頃でこれは20歳前傷害に当たる。そして卒業後就職するがこの頃までに合計3回の通院・治療を受けているが、その後医療を行う必要がなくなり数年に及び通常の勤務に服していた。

 ここで社会的治癒とは社会保険の運用上、医学的には当初の傷病が治癒していない場合でも社会的治癒に相当する期間普通に働いている場合には再発したものと扱われ、再発日の初診日が初診日として扱われる。

 これは前述の通り厚生年金被保険者期間を無駄にしないという趣旨があることから相当の期間にわたって医療を行う必要がなくなりその間通常の勤務に服していたことが必要となる。

 とすると請求人は医療を行う必要はなく数年に及び通常の勤務に服していたのであることから社会的治癒が成立する。

 したがって初診日は厚生年金被保険者中にあり障害厚生年金が支給されました。