57 障害年金 統合失調症(保険料納付要件)

 今回は統合失調症で保険料納付要件が問題になった事例について少し考えてみようと思います。

 保険料納付要件が問題になった場合まず保険料納付記録を確認し、初診日の前日において3分の2要件・直近1年要件を満たすかを考えます。それで保険料納付要件を満たさないということになると保険料納付要件を満たす初診日はないかを検討することとなります。

 ここで初診日に関する証明資料は直接診療に関与した医師または医療機関が作成した診断書、またはそれに準ずる証明力の高い資料でなければなりません。

 本件では保険者は甲病院を提出資料より初診病院と認めているが、この初診日は21歳4月の時で保険料納付済期間はない。

 これに対し請求人は20歳に達したときにはその精神状態や能力に照らして自ら保険料を納付することは不可能であった(すでに独立し一人暮らしであった)。これを理由に不支給とすることは20歳前に労働能力を失ったものに対し社会福祉原理に基づいて給付を行う国民年金法30条の4の立法趣旨に反すると主張する。

 これは21歳4月の時が初診日であることから1年4月保険料納付が不可能ならば国民年金法30条の4の趣旨から20歳前障害と同じに扱うべきであるというものである。

 しかしこの1年4月の間労働能力が失われていたことを示す医学的な資料が提出されていないことから請求人の主張を認めることができない。

 したがって甲病院が初診病院としたことに問題はない。