45 障害年金 統合失調症・広汎性発達障害(初診日)

 今回は統合失調症・広汎性発達障害で初診日が問題になった事例について少し考えてみようと思います。

 本件では初診日が国民年金被保険者であることから障害等級2級に当たるか否かが問題になる。

 統合失調症の2級の例示として「残置状態または病状があるため人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるため日常生活が著しく制限を受けるもの」が掲げられている。

 広汎性発達障害での2級の例示として「発達障害があり社会性やコミュニケーション能力がとぼしくかつ 不適応な行動が見られるため日常生活への適応に当たって援助が必要なもの」が掲げられている。

 ここで疑問なのは障害認定基準では障害の状態の基本として2級に「活動の範囲がおおむね家屋内に限られるもの」を掲げるが、発達障害では基本的に当てはまらないであろう。この点については発達障害の性質から例外規定を設けるべきであろう。

 本件において病状として幻覚妄想状態等、抑うつ状態、人格変化が認められる。

 ここで精神の障害にかかる等級判定ガイドラインの障害等級の目安にあてはめてみると日常生活能力の判定が2.43 日常生活能力の程度が4で2級ということになる。もっともこれはあくまでも目安でありすべての事情を総合考慮して判断する必要がある。

 病歴就労状況等申立書によればバスに乗って病院へ通うことができ、コミュニケーションはほとんどとれないが外出しスーパーなどで買い物をすることもできる。

 とすると2級の障害の基本である「活動の範囲がおおむね家屋内に限られるもの」には当てはまらない。

 したがって障害等級2級には認定されませんでした。