軽度精神遅滞(障害等級2級認定)

 今回は軽度精神遅滞(IQ67)で障害等級2級が認められた事例です。

 等級判定ガイドラインでは療育手帳の有無・区分を考慮すると定められていますが、障害年金の判断基準は傷病から発する症状が労働能力・日常生活能力にどの程度の影響を与えることで決まります。

 とすると療育手帳の有無・区分は障害等級の判断には限定的にしか影響を与えないものと思われます。

 一般的には軽度精神遅滞では障害年金は受給できないと考えられています。実は年金事務所でもこのように言われることがあります。それは精神遅滞は先天性の疾患で(交通事故でそのような状態になる方がいることから厳密にはそこまで言えないと思われます)20前傷害に当たることから障害基礎年金しか支給されず、障害基礎年金には1級と2級しかないためです。

 しかしそれでも2級に認定されることはあります。

 ここで障害の状態はコク年齢別表に定められ、より具体的な障害認定基準があります。

 障害認定基準では2級の例示として「知的障害があり、食事や身の回りのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活の当たって援助が必要なもの」が掲げられています。

 本件を等級判定ガイドラインの障害等級の目安の当てはめてみると日常生活能力の判定は3.14 日常生活能力の程度は4で2級に当たる。

 しかしこれはあくまで目安でありすべての事情を総合考慮して判断する必要がある。

 本件では金を盗み競馬に使い仕事も長続きしないといった点が人格障害と判断され認定の対象とはされないとされました。

 今点を裁決例では「これらの症状、そのための障害の状態は、精神医学的観点から見ると、認定基準に掲げられている、原則として認定対象とならないとされる人格障害による障害とするよりも当該傷病に起因する集中力・抑制力・社会的な是非善悪の判断力の欠如によるものと認められ、本件診断書の記載されている日常生活能力の判定、日常生活能力の程度の判断についてはそれらをそのまま障害認定対象とすべきものと判断するのが相当である」としている。

 2級の一部例示では会話が簡単なものに限られるとされているが、本裁決例では考慮された形跡はない。それ以外の部分で判断されている。

 あくまで総合的に認定されたものと思われます。