両網膜色素変性症(初診日)

[問題] 昭和61年4月1日前に発病した傷病について事後重症による障害として障害厚生年金を受けるためには、疾病にかかりまたは負傷し、かつ、その傷病にかかる初診日(昭和61年4月1日以後)において被保険者であった者、又は、昭和61年4月1日前に被保険者であった間に疾病にかかりまたは負傷した者のいずれかに該当すること。

 そこで問題は発病日・初診日はいつかである。

[論理] 発病日及び初診日に関する証明書類は直接これに関与した医師または歯科医師が作成したもの又はこれに準ずるような証明力の高い資料でなければならない。

 本件では発病日または初診日は者を落としても拾えなかったり、歩行中時折何かにぶつかったりしたため受信したとされる中学生当時とするのを相当とする。

 したがって、昭和61年4月1日前にある発病日には厚生年金保険の被保険者ではないから障害厚生年金の支給はできない。

[解説] 障害厚生年金は一時発病時主義をとっていました。発病した日に被保険者か否かで受給権が発生するか否かが決まります。

 たしかにその傷病により障害等級に該当するか否かを決めるのですから合理的ともいえます。

 しかし発病日は立証の困難性を伴います。傷病の性質として長い間に徐々に進行していくものは長い時間をさかのぼって証明しなければなりません。

 それゆえに初診日主義に変更されました。しかし初診日証明についてもカルテの廃棄により多くの困難が伴っていることは御存知のとうりです。