成年後見制度Ⅱ

前回成年後見制度には法定後見人(後見・保佐・補助)があることを示した。今回はこれらの関係について簡単に考えてみたい。

ここで法定後見は民法上の制度で本人の行為能力に問題が生じたときに家庭裁判所が本人、配偶者、四親等内の親族等の請求を受けて審判により開始される。この際には後見人、保佐人、補助人の選任は必須であるが後見監督人、補佐監督人、補助監督人の選任は任意的選任である。これは本人保護の見地からは両者を選任することが好ましいものであるが一度の両者の選任は困難であると考えられたのであろう。

そして重要な点は審判開始の手続きにおいて補助人をつける場合は本人の同意が必要となります。また代理兼付与の手続きにおいて補助・保佐の場合は本人の同意が必要となります。

次に任意後見契約とは委任者が受任者に対し精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況における自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部または一部を委託し、その委託にかかる事務について代理権を付与する委任契約であって任意後見監督人が選任された時からその効力を生じる旨の定めのあるものをいう。

任意後見契約は行為能力に問題を生じた後に効力を有することから本人の意思を明確にするために公正証書によらなければならない。

また契約の発行は家庭裁判所が任意後見監督人の選任を必要とする。

これは任意後見人が契約により決まっていることから任意後見監督人の選任にはそれほど問題は生じないと思われるからであろう。