障害年金 重症筋無力症・頸肩腕症候群(障害等級)

 今回は重症筋無力症・頸肩腕症候群で障害等級が問題になった事例について少し考えてみようと思います。

 本件で裁定請求却下された理由は頸肩腕症候群を除いて重症筋無力症のみで障害等級を判断できない点にある。すなわち頸肩腕症候群が生じている頸痛は障害認定の対象とはならず重症筋無力症のみで判断しなければならないからです。障害認定基準は疼痛を原則として障害認定の対象とはせず、激痛を生じる傷病にのみ例外的に障害認定の対象としている。おそらく疼痛はその程度を客観的に判断できないことから原則として認定対象とはしないと考えられる。しかし障害年金の受給権は障害によって労働能力・日常生活能力がどの程度制限されるかで判断されるのであって傷病名とは関係がない。精神の障害で神経症などが原則として認定対象とならないことと同様に問題がある。

 さて本件では明確に区別できるかを考えてみると、重症筋無力症に起因するのは四肢筋の易疲労性・眼瞼下重などの筋力低下などの純粋な運動障害であり、頸肩腕症候群から生じるのはしびれ、疼痛などの感覚障害で区別して判断することは可能とされる。

 とすると重症筋無力症からは四肢に機能障害が出ていることから障害認定基準では肢体の機能の障害で判断することとなる。

 そして診断書記載の事実をあてはめてみると「一上肢及び一下肢に機能障害を残すもの」に該当する。

 したがって障害厚生年金3級が認定されました。