成年後見制度Ⅲ

任意後見制度と法定後見制度との関係について少し検討する。

まず、法定後見制度では本人の判断能力の程度によって後見・保佐・補助と類型化され、それぞれに必要な範囲で同意権・取消権・代理権が与えられる。

これに対し任意後見制度は本人が契約に必要な判断能力を有しているうちに自己が選んだ任意後見人に対して精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状態になったときに自己の生活や財産管理の事務の全部または一部を委託しその委託にかかる事務について代理権を付与することを内容とする委任契約である。

それゆえに後見人のように本人の財産に対する法律行為に対して包括的に代表するわけではなく保佐人や補助人の用に同意権や取消権を有するわけでもない。

そして本人の自己決定を尊重する趣旨から原則として任意後見人が優先されます。

しかし本人の利益のために必要がある場合には任意後見人も法定後見の申し立てができます。

この場合に法定後見の審判の開始を受けた場合には任意後見契約は終了することになります。