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刑法の責任能力

一応質問を受けたので刑法上の責任に続いて考えてみます。

犯罪が成立するためには構成要件該当性・違法性・責任が必要になります。そして刑罰を科すためには処罰条件も必要になります。

構成要件には客観的構成要件要素(実行行為と結果との間に因果関係があること)と、主観的構成要件要素(故意、過失)があります。構成要件要素は通常の判断能力を有する一般人を基準にしこれに対し違法性、責任はそれぞれの事情を基準に判断します。たとえば違法性なら正当防衛が成立して違法性が阻却されないかを考えます。同様に責任では責任能力の有無を調べるのです。

ここで故意とは犯罪事実を認識し結果発生の高度の蓋然性を有する事をいい、過失とは不注意で結果を発生させたことをいい構成要件要素としての故意・過失は一般人を対象にするので個別的事情は問題にしません。

そこで責任能力が問題になります。

ここで責任能力は事物の是非を弁別しこれにしたがって行動する能力のことをいう。

そしてこれが失われた場合を心身喪失、著しく減退した場合を心神耗弱という。

心神喪失の場合は犯罪は成立しません。

心神耗弱は犯罪は成立しますが絶対的減刑事由です。

このように責任能力と障害等級は全く関係ありません。