障害年金 統合失調症(初診日)

 今回は統合失調症で初診日が問題になった事例について少し考えてみようと思います。

 この裁決例は戦略が全くできていないことをよく示している。当初認定された初診日は請求人主張のものとは異なることから障害認定日以後3ヶ月以内を現症日とする診断書を提出していないので請求却下されている。そこで再審査請求で請求人主張の初診日を認めさせているわけですが今度は保険料納付要件を満たせていません。目的は障害年金受給権発生ですので、その成立要件に当てはまる事実の有無について十分に検討して請求しなければ努力が全く無駄になります。

 本件では統合失調症の前に心因反応として受診しています。したがって心因反応と統合失調症との間に相当因果関係が認められれば心因反応の初診日が初診日となります。

 ここで精神医学的観点から見てみると、心因反応は通常明確な心因(体験)に引き続いて急激に発症するものを指すとされている。実際の臨床の場では心因反応という概念のもとに広く神経症と心因精神病を含めて考える場合が多く様々な初期症状、臨床経過を呈する統合失調症の初期症状としても記載されることはよく知られている。

 本件において心因反応と診断された傷病と、その1ヶ月後に統合失調症と診断されて入院加療を受けていた傷病は精神病大敵に連続する関連傷病とするのが相当である。

 とするならば請求人主張の心因反応の初診日を統合失調症の初診日と認定できる。

 しかし前述の通り心因反応の初診日を基準とすると保険料納付要件は満たせていません。

 したがって障害年金は支給されませんでした。