権利の乱用(民法1条3項)

権利の乱用も信義則と同様に民法の一般原則である。それゆえに個別具体的な条文を駆使した結果結論の妥当性が測れない場合に最後の手段として使われます。その要件が利益考量である。利益考量とはその権利の行使を認めた場合に失われる利益が得られる利益よりも著しく大きく結論の妥当性が測れない場合に使われる。

はんれいではかつて鉄道院が線路を敷設するのに十分の注意を払わず由緒ある信玄公旗立の松に普通以上のばい煙がかかることにより枯死させた事件で不法行為責任を認めた。

これは多少の軌道変更で銘木の喪失を防げたという点で失われた利益が著しく大きいと判断された事例である。

障害年金の事例に引きなおしてみれば裁定請求をしすでに審理に入っているのに請求を取り下げ再度請求をする場合が考えられる。これは審理を無駄にしたという点で失われる利益が大きいと評価されれば再請求は認められなくなる。

注意していただきたい。