広汎性発達障害(初診日)

★20歳前障害になれば保険料納付要件が不要となることから初診日が争われた事例。

[問題提起1]  初診日はいつか。 

 

[規範定立]   初診日を確定することは一つには保険料納付要件を満たしているかを判断するためである。

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           ただし初診日において20歳未満であった者に限りこの要件は必要とされない。

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           初診日に関する証明資料は直接それに関与した医師又は医療機関が作成したもの又は

         これに準ずるような証明力の高い資料でなければならない。

 

[あてはめ] 1 甲医師作成のジュシン状況等証明書  初診日は診療録で確認

        2 乙医師作成の診断書            初診日は診療録で確認

 

[結論]    これらの事実によれば1,2に記載の初診日を認定するのが相当である。

 

[問題提起2]  請求人は広汎性発達障害は生来性の障害であるから20歳前に初診があったものと扱わ

         れるべきと主張する。

                                    

[規範定立]   ここで広汎性発達障害の医学上の一般的知見として先天性の障害とされ20歳前に初診日

         があったものとされる知的障害とは異なり幼少時から明らかな臨床症状を発現することはまれ

         であり、多くの症例では20歳前後の時期にその症状が発現し顕著になってくるとされる。

 

[あてはめ]   この点からすると広汎性発達障害が医学的に先天的要因があるとしても初診日に関して

         これを知的障害とまったく同じに扱うのは相当とはいえない。

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          そして具体的な臨床症状あるいは自覚症状が発現しそれが日常生活や社会生活を営む障害

         となりそのために医師あるいは医療機関を受診した時点をもってそれにかかる初診日とするの

         を相当とする。

 

[結論]     したがって請求人の主張は採用できない。