筋委縮性側索硬化症(認定日)

[問題] 障害認定基準によれば初診日から起算して1年6ヵ月以内に在宅酸素療法を開始した場合はその開始した日を障害の程度を認定する時期とするとされている。請求人は当該傷病により呼吸困難となって24時間のNIPPV(非侵襲的間欠陽圧人工呼吸療法)が開始されていることから同日を持って障害の程度を認定する日とすべきではないか。

[論理] 障害の程度等を認定するための具体的基準として障害認定基準を給付の公平を期するための尺度としてこれに依拠するのが相当である。

 障害認定日とは障害の認定を行うべき日をいい初診日から起算して1年6ヵ月を経過した日又は1年6ヵ月以内に治った場合には治った日をいう。

 在宅酸素療法を施行中の者については障害の程度を認定する時期は在宅酸素療法を開始した日とする。

 本件において請求人によれば入院中ではあるが同日「終日NIPPV使用」とされており障害認定基準上24時間の呼吸療法が開始され退院した後もこれが継続したものと考えられる。

 したがって同日を持って障害の程度を認定すべきものとする。

[解説] 本件では保険者が入院中に酸素療法がおこなわれたことのみをもって障害認定日とすることを否定したものである。

 裁決例では病状の推移や症状の改善がないと考えられる状態と認められるのでありその意味において状態の固定性が認められ最終的な状態に達していたと認められる。

 また認定基準は在宅酸素療法としているもののそれは一時的なものではなく、かつ、常時の酸素療法の施行ということができる。

 それゆえに入院化在宅かという形式的に判断することはできないとする。

 社会保険審査会はかなり実質的な判断に踏み込んでいると思う。誠に正しい解釈である。