障害年金 クインケの浮腫・化学物質過敏症(障害等級)

 今回はクインケの浮腫・化学物質過敏症で障害等級が問題になった事例について少し考えてみようと思います。

 本件では初診日に国民年金被保険者であったことから障害基礎年金を受給するには障害等級2級以上である必要があります。

 ここでその他の疾患による障害の程度は、全身状態・年齢・術後の経過・予後・原疾患の性質・進行状況等、具体的な日常生活状況等を考慮し総合的に認定するものとし、身体の機能の障害又は安静を必要とする病状があり、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に該当するものと認定する。

 これは障害認定基準の定義をそのまま書いただけなのですがよくわからないと思います。

 障害年金は長期の生活保障を意味することから、傷病から発する症状が労働能力・日常生活能力にどの程度の影響を与えるかで障害等級が決まります。国民年金法別表・厚生年金保険法別表との関係から障害等級は一人で行動することを前提として、労働能力は失われ日常生活能力も著しく制限されている状態です。労働能力は日常生活能力が認められて初めて成り立つものだからです。これを障害認定基準があげた事情を考慮して検討することになる。

 診断書では「日常生活を送るのに助けが必要な状態」とし、化学物質過敏症照会様式では「軽作業は可能」とされる。そして病歴就労状況等申立書では日常生活について介護や散歩、炊事、洗濯、掃除、買い物はできないが、着替え、洗面、トイレ、入浴、食事は「自発的にできたが援助が必要」とされている。

 とすると一定の範囲で軽作業が可能とされていることからすれば障害等級2級の例示には該当しないと考えられる。

 したがって障害基礎年金の支給はありませんでした。