左自然気胸 強直性脊椎炎

[問題] 健保傷病手当金の支給についての再審査請求である。

①請求人は資格喪失当時において傷病A(左自然気胸)だけでなく傷病B(強直性脊椎炎)によって療養のため労務に服することができなかったと認められるか。

②本請求期間においてAとBによる療養のため労務に服することができないと認められるか。

[論理] ①自然気胸と強直性脊椎炎の関連性についてみると両者は異なる別の疾病であるが、自然気胸が強直性脊椎炎から低頻度ながら引き起こされること及び強直性脊椎炎の合併症として自然気胸が数%あるとの報告がある。

 本件の場合若いころから強直性脊髄炎が存在しその後自然気胸が発生したことから両者を関連した疾病と扱うことが相当である。したがって資格喪失時においてAだけでなくBによても療養のため労務に服することはできなかったと認められる。

②本請求期間においてAのみでは労務不能に至らないもののBによる胸郭拡張障害による呼吸困難症状が既支給期間から継続したことにより労務不能といわざるを得ない。

[解説] 本件は健保傷病手当金の支給要件である③継続して労務が不能であったことの事実があったかが争われた事例である。裁決例では様々な事実を挙げて認定しているので参考にされたい。