統合失調症(社会的治癒)

 今回は統合失調症で初診日が問題になった事例について少し考えてみようと思います。

 請求人の主張によると統合失調症で診療を受けてからよくなり数年経過してから医師の診療を再び受けていることから社会的治癒が成立し、後に診療を受けた日を初診日とすべきとする。

 ここで医学的に治癒したと認められる場合には前後の傷病は別個のものとして扱われることになる。これ以外は原則として同一傷病として扱われることとなるが、社会保険の運用上相当の期間にわたって医療(予防的医療を除く)を行う必要がなくなり通常の勤務に服していたことが認められる場合には社会的治癒が認められることになる。

 本件において請求人は大学中退後店員として働いていたときに統合失調症を発症し治療開始され、服薬できている時には寛解状態になっていることから、通院服薬が不規則になり、統合失調症の悪化を来している。

 とすると請求人は通常の勤務に服していたことは認められるが医療の必要がなくなたとは認めることができない。

 従って社会的治癒は認めることができない。